バッティングスイングの種類
バッティングスイングには、バットを真っ直ぐに振り抜くレベルスイングと、下から振り上げる形のアッパースイング、そして上から振り下ろすダウンスイングの3つの種類があります。
このバッティングスイングのうち、どれが一番良いということはありません。
なぜならそれぞれのスイングに、メリットとデメリットがあるからです。
今回は、日本のプロ野球界で最も多くの選手が使用しているダウンスイングについて、そのメリットとデメリットを検証してみましょう。
プロ野球界で多用されている理由
日本のプロ野球選手がダウンスイングを多用している理由としては、メジャーリーグ選手との体格の違いが挙げられます。
日本人はメジャーリーガーに比べて体格や筋力の面で劣ってしまうため、いかにしてボールを遠くへ飛ばすことができるかというところに重点を置き、最適とされたのがダウンスイングなのです。
ダウンスイングではトップからミートポイントの位置まで、まだ力が弱い少年野球の選手はバットを斜めに振り下ろすようにスイングします。
こうすることで打球に角度とスピンをかけることができ、打球にはバックスピンがかかってボールを持ちあげる力が働きます。
この力によってたとえライナー性の当たりであっても飛距離がでるので、スタンドインさせることが可能なのです。
日本ハムファイターズの中田選手は、綺麗なダウンスイングをする選手として知られています。
ダウンスイングの基本であるバックスピンをしっかりとかけることを忠実に実践した、まさにお手本通りのダウンスイングです。
子ども達にもたらすダウンスイングのメリット
小さい頃に野球を始めた人の中には、バッティングの正しい打ち方としてダウンスイングを指導された選手が多くいます。
ダウンスイングはまずミートポイントに対し、最短距離でバットが出るのが大きな特徴です。ボールを捉えるべきミートポイントに対しダウンスイングをすると、トップの位置からバットが一直線に出ますのでバットのヘッド部分が遠回りすることがありません。
よって長くボールを見ることが可能になり、振り遅れをせずにしっかりとボールを見極めることができます。
実際にダウンスイングをしてみると、ミートポイントの位置まで素早くバットが出るのがよくわかるでしょう。まだ力を込めるのが難しい少年野球の選手はスイングが遠回りしやすいため、最短距離のスイングを印象付けることが大切です。
そのため上から下に振るダウンスイングがよく指導されており、早い上達が見込めるところもメリットの一つとなっています。
ダウンスイングは上から叩く形になりますので、ゴロを大変転がしやすいスイングです。
特にゴロを必要とするヒットエンドランの場面では、ダウンスイングが最も効果的なスイングと言えます。
ランナーが出塁しているときには、ポップフライだけは何としても避けたいので、ボールを転がす打法が重要になってきます。
その点上から叩くダウンスイングなら、ポップフライを打ち上げる可能性が低くなりますので、このような場面では大きなメリットとして働きます。
ダウンスイングは、ボールの下を打つことによってバックスピンがかかりやすくなり、ボールを遠くまで飛ばすことが可能です。
前述の中田選手のように、この点がダウンスイングの最大のメリットと言っても過言ではありません。
メリットを上回るデメリットとは
ひと昔前まではダウンスイングを教える指導者が多く、長い間主力スイングとして採用されてきましたが、近年ではデメリットのほうが注目されるようになりました。
依然としてプロ野球界では多くの選手が用いていますが、プロ選手は臨機応変にスイングを変えることができますので、子ども達や成長途上にいる中高生にはむしろデメリットのほうが多いと考えられます。
ダウンスイングは、ボールに対して点でしかバットで打つことができないため、ミートポイントが少なくなってしまうのが最大のデメリットです。
特にダウンスイングは上から叩きつけますので、打球が全てゴロになる可能性が生まれます。
当たり方によってはヒットに繋がりますが、ミートポイントが悪い場合は打球の全てが内野ゴロになることも十分に考えられるのです。
そしてミートが低すぎた場合には、ゴロとは逆に打球が浮き上がってしまうため、ポップフライやキャッチャーフライになる事態も招きます。
中学・高校と実力が上がるにつれてピッチャーが投げるボールのスピードも上がりますが、ダウンスイングはその速球を点で捉えようとするため、ミートする技術が追いついていない場合は大変難しくなります。
このようなケースではダウンスイングそのものがデメリットとなるでしょう。
まとめ
ダウンスイングは、力のない選手でも遠くまで飛距離を出せるのでホームランを狙うこともできます。
また強いゴロが必要なときには、狙いを定めて打つことも可能ですので攻撃の幅が広がります。
その一方で振り遅れた場合や少しでもバットを振るのが早ければ、思い通りの打球を飛ばすことができません。
しかしダウンスイングは様々な打ち分けができますので、技術を磨くことで多種多様な対応ができることも事実なのです。
メリットとデメリットをきちんと理解したうえで、実践に役立てることが最も重要となります。
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